FC2ブログ

「風と行く者」上橋菜穂子

よかった。
とてもよかったです。

児童文学の「精霊の守り人」の最新作です。
外伝というくくりになっていますが、内容的に続編です。

完結から何年もたって生まれた、
作者自身も「ない」と言っていた、続編。
すばらしい作品でした。

主人公の女性と育ての父親の話になります。

過酷な、こんなにひどいことってあるだろうかと
思わずにいられない運命の中で、
あらゆるものをあきらめながら命だけをつなぎ、
必死に生きてきた二人。
無敵の短槍つかいだった養父に守られ、
鍛え抜かれた女の子は成長してすご腕の女用心棒になり、
養父は不敗のまま病でこの世を去っています。

思い出すのもつらい子供時代を、
ふしぎな運命に導かれて
ふたたびまた見つめることになる主人公、
バルサ。

厳しかった養父。
こぶしで殴られたときにも
愛は確かに注がれていて、
同時に伝わった悲しみや憎しみ。
胸をしめつけます。

大人になった今振り返ると、
さんざんだった青春時代には
砂金のようなつぶがあちこちに沈んでいて、
あたらしく見つける愛もありました。

人が生きて死んでゆく流れのなかで
家族も財産も家もない、そんな人間は
何も残さないと思っていたけれど
確かに残るものがある、と
大きく感じさせてくれる作品です。

この作者の本は独特で、
少ない文字数で的確に情景を伝えてきます。
漢字も少なく、一見さらっと入り込めるのですが
気づくと世界の中にいます。
そのかわり、一文字も読み飛ばせない。
うかつに読み流せばあっというまに引き戻されてしまうからです。
真剣にむきあうほど、強い読書体験を返してくれる本です。

父を亡くし、中年に入った私は
この本を読むにあたり
その辺の人よりだいぶ優位に立っております。

何度も泣けました。
親子の愛、子を思う母の愛、大人の愛、
様々な愛が風のようにわき上がっては
当りをとりまき、流れてゆきます。
とても良い本でした。

作者の方が「一度は断念したこの作品が書けたのは、
私の人生が進んだからです」
とおっしゃっていました。
数年前お母様を亡くされたそうです。












スポンサーサイト



つらいことは感受性をみがく

shinoです。

昨日の続きです。

あれから考えてみてわかったのは、
つらいことはイヤだけど、確かに感受性をみがく、ということでした。

今は別な本を読んでいるのですが、これが名作なのをぬきにしても
まあ入る入る。
一行ずつ情景を想像しながら刻み込むように読んでいます。
心情に涙したり。

なんていうんですかねー。

平穏な生活は何よりのものだけど、時々感受性をコルクのように覆ってしまうのかもしれない。
嫌なことがあって傷ついて、こころを削られたとき
削りくずの下から、ガラスのような感受性がむき出しになるのかもしれない。

そこにひりひりしみこんでくる創作物や、純粋なひとたちの交流。
「ものすごく救われる」という思いがします。



つらいことって何のために起こるんだ?とわからなくなった話

shinoです。

のっけからオタクトークぶちかましますけども、今年の初め、めっちゃはまった漫画がありました。
きっかけは好きな漫画家さんがツイッターで爆推しなさっていたこと。
そして、一度は連載未完で単行本も絶版になっていたのが、オタクたちの熱烈アピールで
知名度爆上げ→新装版発売(鬼の書き下ろし含む、オタク感涙)という
奇跡みたいなムーブメントがその作品に起きていた、そのことに興味をもったためでした。

結果的にとても、とてもよい漫画でした。

そしてそれに関わるオタクの人たちもよかった。
絵を描いたり漫画を描いたり文章をつづったりして、愛を叫んでいた。
その時それがノミネートしていたとあるコンテストがあり、
一生懸命それぞれの持てる力で応援していらした。

中でもものすごい文才を持った方が(プロの漫画家さん)いらして、
ふきだしてしまうようなセンスと爆裂な愛をnoteにしたためていて、
なんだか読んでいるだけでその漫画が読みたくなるし作者が好きになるし
その方のことも好きになるし
胸が勝手に熱くなるしで、気づけばその漫画とセットで、
その「漫画のファンの人」のファンにもなっていました。

それから時がたち、半年ぶりにその方のnoteを拝見したら、なんと
作者の方とお会いしたという。

それが、とても、とても感動的に、でも笑いのセンスびっしりで書かれていて、
面白いんだけどなんだかしみじみと泣けました。
その方(ファンの方)は、その漫画と出会った時に、
仕事が大変すぎて人生で一番ぐらいに辛い時期を過ごされていて。
毎日号泣するくらい辛かったけれど、
その作品と、それを取り巻くオタクのひとたちの熱いムーブメントに慰められ、
チカラをもらって生きていたそうです。

作者の方は、あまり日の目を見ることのなかった自分の作品を見出してくれて、
愛してくれ、爆裂に応援してくれた方たちのおかげで
コンテストも入賞し、新装版までだせて…、と感謝の気持ちにたえない様子。
二人が互いに涙ぐみつつ、言葉すくなに思いを押さえながらそっと話しているところ、泣けました。

そんなにつらい時期に、よくあんなにおもしろい文章を書けるなあ…
たくさんの愛がこの人を支えていたんだなあ…
純粋な愛っていいなあ。
なんだかとてもよいものを見せてもらったなあ。と思ったのが昨日までの話。

序章長かったですが本番はここからです。

今、私は教習所に通っています。
今日わりとクセのある先生にあたってしまい、
イヤミに耐えかねてヘタクソ運転を連発。
初めて〇をもらえず、とんでもなく、落ち込みました。

しかも悪いことに帰りに寄ったスーパーで
駐車場の出口を間違えてしまい、
知らないおじさんに「バカヤロー!(大声)」からの間違い指摘を頂くという
かなしい出来事がございました。
(その後運転席まで追いかけてきた)
(丁寧)
(正義感つよい)
(爆裂謝ったらわりとすぐ戻った)

ショック…。

どちらも私の不足が招いたことでもあります。
だから、余計きつい。

知らないおじさんに怒られるのつらいわー。
ミスにねちねちイヤミ言われるのつらいわー。
そんなわけでさんざんな一日でした。

そのショックから抜け出せないまま、
勉強せな…しかし頭からイヤミリフレインと教官の顔、変な寝ぐせの映像が
離れない…と、現実逃避の矛先に先述のレポ漫画をまた読みたくなり。
見ましたらば、しみじみと心が癒されてゆきました。

幸せだった昨日よりずっと感じる。

しみじみいいわ、ずっといいわ。
なんなら自分の文才もちょっと上がってる気する。

なんかほんと今日、6万3千円も払った教習費ふいにしてでも
このまま逃げてやろうかと思ったくらい最低だったのに、
なんでこんな現象起こるのかな。
なんで辛いことは、おいしいものをさらに、ずっとずっとおいしくするの?
なんなのこれ。

辛いことって何なのか。悪なのか善なのか分からなくなった次第です。

あ、その教官とはもう会わなくて済むような手続きをとりました。
イップスになっちゃう自分を知っているからとっとと逃げます。
しゅくしゅくと勉強しようと思います。