平安時代へ「むかし・あけぼの 小説枕草子」

shinoです。

書棚を整理していて、ずっと手を付けずにいた本を読み始めたらこれが面白くて!
今読んでよかった!と思えて仕方ない本です。

「むかし・あけぼの 小説 枕草子」田辺聖子

古典の「枕草子」を題材にした小説。
才能あって好奇心旺盛、プライドが高く人見知りで、
えらい方たちの前では急にもじもじしてしまう、清少納言。
少女の理想が肉体をまとって現れたような中宮定子。
単純でちっとも面白くなく(と清少納言には思われる)人がよい男の見本のような元夫、則光。
魅力的な人間たちがつぎつぎと現れて、平安時代の描写も美しく
どっぷりとタイムスリップできます。

しかし田辺さんは、つくづく清少納言になるのがうまい。
古典から読み取った彼女を、3Dプリンタのごとく生み出し
イタコのように口を貸し、手を貸して
文章の上に降ろしてくれる。

女の生きる喜び。悲しみ、なにに興味を惹かれるか。
その神髄のところは、男には到底理解できないのではないかと思ってしまう。
それほど清少納言のセンスはとがっていて、
細やかで、自分自身でさえ説明のつかない部分がある。
だけど激しく求めるものが確固としてある。

男兄弟のように深い縁でむすばれた夫の則光は打てば響く、というタイプではなく、
まったく響かない。
なにが面白いの?という顔をして、女はこうあるべき、というルールを信じて疑わない男。
だけど、ふいに強く、この人でなくてはだめだ!と思わせる魅力を放つのが面白い。
夫婦の面白いところです。
反対していた宮仕えをある朝急に許したり、
分からないけれど興味を持つ、という姿勢がまったくぶれないところだったり、
権謀術数うずまく宮中の汚濁にすっかり慣れているようでいて、
心の底では不遇の宮に同情心をずっと持ち続けているところ。
生き物としての根本的な優しさ。
こうべを垂れたくなる素直さ。

とても長い本で、まだまだ先がたっぷりあるのですが
読み始めてもう語りたくなってしまいました。

文庫本も出ています。
みやびやかで美しく、ときにはオトナの男女の交流もあり、
異次元に連れて行ってくれる本。
田辺さんの文体はとても読みやすい。
これは通勤電車のおともにもいいだろうな♡





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Author:erisino57
shinoです。農業しながらアクセサリーを作っています。不定期ですがフルオーダーメイドも。

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